会計士が”資産”という考え方で、身の起て方や芸人さんの職業的価値を考える

会計を少しでもかじったことのある人であれば、資産や負債について、なんとなくはイメージがつくと思う。今回は、資産というものについて、少し考えてみたいと思う。
IFRSには概念フレームワークという基準がある。個別具体的な会計基準の前段階としての考え方や、個別具体的な会計基準で特定的にカバーされていない事象について検討するさいに立ち返るべき基本的な考え方が示されている。
ここに資産の定義がある。いわく、
「資産とは、過去の事象の結果として企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入すると期待される資源をいう」
とある。

キーワードは、過去の結果として自らが支配しているということと、将来の経済的便益の流入が期待されることである。
ひらたくいえば、がんばった結果として自分が有しているもので、将来利益を生んでくれる価値のあるもの、ということである。
通常の企業のバランスシートには、資産の部があり、そこに資産が列挙されている。たとえば、現金、売掛金、棚卸資産、有形固定資産、といった具合だ。
現金であれば利息を稼いでくれるし、それを有益ななにかに投資することでより大きなキャッシュに還元できる可能性もある、売掛金はもっていればいずれ現金が入ってくるし、棚卸資産は売れば現金が入ってくる。有形固定資産、建物や機械装置などのことだが、これらは使用することで企業がビジネスを回し、収益を有むと期待することができる。
以上が、一般的な資産であるが、時に、のれんという資産が計上されていることもある。これは、現金や建物のように具体的なすがた形はないが、将来の利益をかとくする能力を有すると判断された、ブランド名だったり、顧客ネットワークだったり、リレーション網だったり、というものである。毎年価値を判断し、下落していないかを確認する必要があったり、数年間でゼロになるように償却しなければならない可能性がある一方で、価値が毀損しないような資産であると認められれば、ずっとそのまま保持し続けることも可能である。

みなさん一人一人について、その保持する資産というのはなにかと考えてみたい。現金や車、建物などの、わかりやすい資産を持っている人も多かろう。一方で、資産とは上述の通り、利益を有む無形のあれこれも含む。
たとえば会計士の資格を持つものであれば、その資格自体は立派な資産だろう。常に研鑽に励み、メンテナンスの必要があるものの、基本的には有効期限はなく、その価値は毀損しない。むしろ、経験を積めば積むほど、その価値は上昇していくものともいえる。
あるいは、すごく仲のよい、刺激しあえる友達関係だったり、有益な情報をもらいあえる人脈はどうだろうか。これも、これによって本人の仕事の成功につながったり、人生の豊かさにつながっているのであれば、立派に資産である。友達や同僚、仕事の人間関係などは、日々これを良好に保つためのメンテナンスが必要であるが、一生涯にわたり持ち続けることが可能な、価値の毀損しにくい資産である。

ほかにはたとえば、一発芸人の一発ギャグはどうだろう。ヒットしている時は、その一発ギャグ一本で、爆発的に収益を稼ぐことが出来る、超優良資産である。一方で、ひとたび飽きられてしまうと一気に稼ぐこことがむずかしくなる。早ければ1年も持たない場合もある。そのような場合、資産に置き換えるとその価値は一年で下落しゼロになる。会計用語では減損と呼ぶくらい、激しく資産価値の下落がおこるものである。しかしながら、もしも一発芸人から、ちゃんと長期間活躍できる芸人に進化できたとしたら、その価値は毀損しないどころか、ますます資産価値をあげ、ますますの収益を稼ぐ源泉となってくれるのである。

会計は世の中の事象を表現するツールであり、言語である。一人一人の人間がどう自分の身を立てていくかということを考えて
いく際に、資産をどう増やしていくかと考えていくことは非常に有益であるし、また、芸人をその資産価値という言語で表現してみることもまた非常に有益なのである。




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